福岡県飯塚市を拠点に、約400年の歴史を持つ老舗菓子店「千鳥屋本家」が、破産手続きへ移行する見通しとなったことが話題になっています。
長年親しまれてきた千鳥屋本家の破産はなぜ起きたのでしょうか。伝統あるお菓子メーカーが経営難に陥った理由が気になりますよね。
また、千鳥屋本家の破産によって、人気商品「千鳥饅頭」や「チロリアン」が買えなくなるのではないかと心配する声もあるでしょう。福岡や関西にある千鳥屋との違いや、今後の店舗営業についても知っておきたいところです。
そこで当記事では、千鳥屋本家の破産がなぜ起きたのか、経営悪化の原因や負債額、千鳥饅頭の販売が今後どうなるのかについて詳しく紹介します。
- 千鳥屋本家が破産に至った3つの理由
- 千鳥屋本家グループ4社の負債額と破産までの経緯
- 千鳥饅頭総本舗との違いや商品の販売継続
- 千鳥屋本家の店舗閉店と今後の営業状況
千鳥屋本家の破産はなぜ?経営悪化と再建断念が原因
千鳥屋本家が破産手続きへ移行する見通しとなった理由は、コロナ禍による売上減少や原材料価格の高騰に加え、再建計画がまとまらなかったためです。
2026年2月には民事再生を申し立て、親族企業の千鳥屋宗家による支援も検討されていました。しかし、権利関係の調整が難航し、同年10月13日に再生手続きの廃止が決定しました。
千鳥屋本家の破産につながった主な原因を3つに分けて見ていきましょう。
コロナ禍と原材料高による売上減少
千鳥屋本家が経営難に陥った大きな原因は、コロナ禍による来店客の減少と、原材料費などのコスト上昇です。
千鳥屋本家は福岡県を中心に店舗を展開し、千鳥饅頭などの和菓子を販売してきました。2020年3月期には年間約11億円の売上高を計上していましたが、その後は新型コロナウイルスの感染拡大によって経営環境が厳しくなりました。
外出自粛や人の移動の減少は、店舗への来客だけでなく、観光客向けのお土産や贈答用のお菓子の需要にも影響したと考えられます。
さらに、原材料や包装資材などの価格上昇も経営を圧迫しました。売上が十分に回復しない中で製造コストが増え、資金繰りが悪化していったのです。
千鳥屋本家は最盛期に約66店舗を展開していましたが、不採算店舗の閉鎖を進め、民事再生申請時には約42店舗まで減少していました。
店舗の縮小だけでは経営を立て直せず、借入金の返済負担も重なったことが、民事再生の申し立てにつながったとみられます。
チロリアンの商標争いと親族間トラブル
千鳥屋本家の経営に影響したもう一つの問題が、人気洋菓子「チロリアン」の商標権を巡る親族企業との争いです。
千鳥屋はもともと同じ一族が営んでいた菓子店ですが、後に息子たちが各地で事業を展開し、複数の会社に分かれました。
その結果、千鳥屋本家や千鳥饅頭総本舗、千鳥屋宗家など、似た名前の会社がそれぞれ独立して経営する形になったのです。
特に問題となったのが、1962年に発売された洋菓子「チロリアン」の名称を使用する権利でした。
千鳥屋本家と千鳥饅頭総本舗などの間で商標を巡る争いが起こり、2022年12月には大阪地方裁判所で和解が成立しました。
和解後、千鳥屋本家は「チロリアン」の名称を使用せず、商品名を「ヨーデルン」に変更して販売することになりました。
長年親しまれてきた商品名の変更は、消費者の認知や販売面に影響した可能性があります。ただし、名称変更による売上減少の具体的な金額は確認できていません。
私は、同じルーツを持つ企業同士でブランドの権利関係が複雑になっていたことも、老舗企業の経営再建を難しくした要因の一つだと考えます。
千鳥屋宗家による再建支援が頓挫
千鳥屋本家が破産手続きへ移行する決定的なきっかけとなったのは、親族企業である千鳥屋宗家との再建に向けた調整がまとまらなかったことです。
千鳥屋本家を含むグループ4社は、2026年2月27日に福岡地方裁判所へ民事再生法の適用を申請しました。
民事再生とは、裁判所の監督のもとで借金の返済条件などを見直し、事業の継続を目指す手続きです。会社を直ちに消滅させる破産とは異なり、再建の可能性を残す制度ですね。
申請後には、兵庫県西宮市を拠点とする千鳥屋宗家が支援に乗り出す方針となり、千鳥屋本家の事業継続に期待が集まりました。
しかし、商標や事業に関する権利関係などの調整が難航し、再生計画をまとめることができませんでした。
その結果、2026年10月13日に福岡地方裁判所から再生手続き廃止と保全管理命令を受けています。
10月28日には破産手続きへ移行する見通しが報じられました。ただし、再生手続きの廃止と破産手続き開始の決定は、法律上は別の段階です。
経営悪化に加えて再建支援も実現しなかったことが、千鳥屋本家の破産に向けた動きを決定づけたといえるでしょう。
千鳥屋本家の負債額はいくら?グループ4社の内訳
千鳥屋本家の負債額は、グループ4社の合計で約22億7000万円に上ります。約400年の歴史を持つ老舗菓子店が、多額の負債を抱えて経営再建を断念する見通しとなったことに驚いた人も多いのではないでしょうか。
ただし、負債額は千鳥屋本家1社だけの金額ではありません。製造会社や販売会社など、民事再生を申し立てた4社の合計額です。
負債総額は約22億7000万円
千鳥屋本家グループ4社の負債総額は約22億7000万円とされています。報道では約22億6800万円から約22億7270万円まで数字に違いがありますが、集計時点や端数処理などによる可能性があります。
民事再生を申し立てた4社の負債額は、以下のとおりです。
| 会社名 | 負債額 |
|---|---|
| 千鳥屋本家(販売・管理) | 約10億5000万円 |
| 千鳥屋本家(製造) | 約7億3800万円 |
| チロリアン | 約4億1800万円 |
| 一実 | 約6240万円 |
上記の概算額を合計すると約22億6840万円となります。千鳥屋本家には同じ社名の会社が2社あり、それぞれ販売・管理と製造を担っていた点も特徴です。
2020年3月期には約11億円の売上高があったものの、コロナ禍による売上減少や物価高の影響で経営環境が悪化しました。
店舗数を減らして経費削減を進めても、多額の負債を返済できるだけの収益を確保することが難しくなっていたと考えられます。
民事再生から破産手続きへの経緯
千鳥屋本家は、2026年2月に民事再生を申し立てましたが、同年10月に再生手続きが廃止されました。
経営再建に向けた主な出来事を時系列で整理すると、以下のようになります。
| 年月日 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年2月27日 | グループ4社が民事再生を申請 |
| 2026年2月以降 | 千鳥屋宗家による再建支援を模索 |
| 2026年10月13日 | 再生手続き廃止と保全管理命令 |
| 2026年10月28日 | 破産手続きへの移行見通しが報道 |
民事再生では、事業を継続しながら債務を整理することを目指します。千鳥屋本家も親族企業の支援を受けて再出発する道を探っていました。
しかし、事業や権利関係の調整がまとまらず、再生計画の実現が困難になったとされています。
その結果、福岡地方裁判所が再生手続きの廃止を決定しました。2026年10月28日時点では破産手続きへ移行する見通しと報じられており、破産手続き開始の正式な決定とは区別する必要があります。
千鳥屋本家の破産は、単なる売上不振だけでなく、再建に向けた調整が成立しなかったことも大きく影響したといえます。
千鳥饅頭総本舗は破産していない!千鳥屋本家との違い
千鳥屋本家の破産報道を見て、千鳥饅頭総本舗も倒産するのではないかと心配した人もいるかもしれません。
しかし、千鳥饅頭総本舗と千鳥屋本家は別会社です。千鳥饅頭総本舗は2026年3月に今回の経営問題とは無関係であると発表しており、両社を混同しないことが大切です。
千鳥屋の4つの会社と暖簾分けの歴史
千鳥屋という名前の会社が複数存在する理由は、同じ一族から暖簾分けによって事業が広がったためです。
千鳥屋の歴史は、1630年に佐賀県で創業した菓子店「松月堂」にさかのぼるとされています。その後、1927年に福岡県飯塚市で千鳥屋が開業しました。
事業の発展に大きく貢献したのが、原田ツユさんです。原田ツユさんには5男3女がおり、息子たちが各地で菓子事業を展開していきました。
主な千鳥屋の系列は、以下の4つです。
| 会社名 | 主な地域 | 系列 |
|---|---|---|
| 千鳥屋総本家 | 東京 | 長男の系列 |
| 千鳥饅頭総本舗 | 福岡 | 次男の系列 |
| 千鳥屋宗家 | 関西 | 三男の系列 |
| 千鳥屋本家 | 福岡県飯塚市 | 五男の系列 |
なお、東京の千鳥屋総本家は2016年に民事再生を申し立て、2023年には千鳥屋宗家へ事業が譲渡されています。
同じ千鳥屋という名前でも、会社の経営状況や事業主体は異なるわけですね。
千鳥饅頭総本舗と千鳥屋宗家の営業状況
千鳥饅頭総本舗と千鳥屋宗家は、今回の千鳥屋本家グループ4社の経営破綻とは別の法人です。
特に福岡市を拠点とする千鳥饅頭総本舗は、2026年3月2日に公式サイトで千鳥屋本家の報道について説明しました。
発表では、千鳥屋本家の件は千鳥饅頭総本舗とは無関係であり、引き続き菓子の製造を行っていることを伝えています。
千鳥饅頭総本舗は千鳥饅頭やチロリアンを取り扱っており、公式オンラインショップから商品情報を確認できます。
(出典:千鳥饅頭総本舗)
また、関西を中心に展開する千鳥屋宗家は、千鳥屋本家の再建支援を検討していた会社です。支援がまとまらなかったからといって、千鳥屋宗家自体が破産したわけではありません。
同じ千鳥屋の屋号を使用しているため混乱しやすいですが、会社ごとに営業状況を確認することが重要ですね。
千鳥屋本家の破産で千鳥饅頭はなくなる?
千鳥屋本家の破産によって、千鳥饅頭が完全になくなるわけではありません。千鳥饅頭は千鳥屋本家以外の会社でも製造・販売されているためです。
また、人気洋菓子のチロリアンについても、千鳥饅頭総本舗が販売しています。商品名や販売会社の違いを知っておけば、今後も購入先を探しやすくなります。
千鳥饅頭は別会社で販売継続
千鳥屋本家が破産手続きへ移行しても、千鳥饅頭そのものが販売終了になるわけではありません。
千鳥饅頭は、カステラ生地で白あんを包んだ伝統的な和菓子です。福岡を代表する銘菓の一つとして、長年お土産や贈答品に利用されてきました。
現在は千鳥屋本家だけでなく、千鳥饅頭総本舗や千鳥屋宗家などの別会社も千鳥饅頭を取り扱っています。
そのため、千鳥屋本家の店舗が閉店することになった場合でも、別会社の店舗で千鳥饅頭を購入することは可能です。
ただし、同じ千鳥饅頭という名称でも、製造会社によって味や原材料、包装などが異なる可能性があります。
千鳥屋本家の千鳥饅頭を長年食べてきた人にとっては、まったく同じ商品が今後も購入できるかどうかが気になるところですよね。
千鳥屋本家の商品や製法が別会社に引き継がれるかについては、2026年10月28日時点で確定した情報は確認できていません。
千鳥屋本家のチロリアンとヨーデルンの違い
千鳥屋本家のチロリアンについて調べると、「ヨーデルン」という商品名が出てきます。
実は、千鳥屋本家は商標権を巡る争いの和解後、チロリアンの名称をヨーデルンに変更していました。
チロリアンは1962年に発売された洋菓子で、ロール状のクッキー生地にクリームを詰めたお菓子です。千鳥屋を代表する人気商品として知られています。
しかし、親族企業である千鳥饅頭総本舗との間でチロリアンの商標を巡る争いが起こり、2022年12月に和解が成立しました。
その結果、千鳥屋本家ではチロリアンの名称を使わず、ヨーデルンとして商品を販売することになったのです。
一方、千鳥饅頭総本舗では現在もチロリアンの名称で販売を続けています。
つまり、千鳥屋本家の破産によってチロリアンという商品がなくなるわけではありません。ただし、ヨーデルンの今後の製造や販売については、千鳥屋本家の事業整理の進展を確認する必要があります。
千鳥屋本家の店舗は閉店する?今後の営業状況
千鳥屋本家の店舗については、今後の営業継続や閉店が気になるところです。
2026年10月28日の報道時点では店舗の営業が続いていましたが、破産手続きへの移行が見込まれているため、今後の営業体制は不透明です。
千鳥屋本家の店舗数の推移と、千鳥饅頭を購入できる別会社について確認していきましょう。
約40店舗の営業状況と閉店の可能性
千鳥屋本家は、最盛期の約66店舗から、民事再生申請時には約42店舗まで店舗数を減らしていました。
コロナ禍による売上減少や経営環境の悪化を受け、不採算店舗の閉鎖を進めてきたためです。
福岡県飯塚市の本店をはじめ、地域に根付いた店舗を展開してきましたが、経営再建は実現しませんでした。
2026年10月28日時点では、千鳥屋本家の店舗は営業を継続していると報じられています。
ただし、再生手続きが廃止され、破産手続きへの移行が見込まれているため、今後は店舗の閉店や事業の整理が進む可能性があります。
一方で、すべての店舗がいつ閉店するのか、どの店舗が営業を続けるのかについて、具体的な日程は明らかになっていません。
そのため、千鳥屋本家の店舗を利用する場合は、訪問前に営業状況を確認することをおすすめします。
千鳥饅頭やチロリアンを購入できる店舗
千鳥屋本家の店舗が今後閉店した場合でも、千鳥饅頭やチロリアンは別会社の店舗で購入できます。
福岡県を中心に展開する千鳥饅頭総本舗では、千鳥饅頭とチロリアンの両方を取り扱っています。
また、関西を中心に店舗を展開する千鳥屋宗家でも、千鳥饅頭などの和菓子を購入できます。
近くに店舗がない場合は、千鳥饅頭総本舗の公式オンラインショップを確認する方法もあります。
ただし、店舗によって取り扱う商品や在庫状況は異なるため、希望する商品が必ず購入できるとは限りません。
特に千鳥屋本家で販売されていたヨーデルンと、千鳥饅頭総本舗のチロリアンは販売元が異なります。以前購入していた商品と同じものを探している場合は、商品名だけでなく製造会社も確認するとよいでしょう。
千鳥屋本家の破産報道はとても残念ですが、長年親しまれてきた千鳥饅頭やチロリアンを楽しめる販売先が残っていることは、ファンにとって安心できる情報ですね。
まとめ|千鳥屋本家の破産理由と千鳥饅頭の今後
当記事では、千鳥屋本家の破産がなぜ起きたのか、経営悪化の原因や負債額、千鳥饅頭の今後について紹介しました。
千鳥屋本家が破産手続きへ移行する見通しとなった主な理由は、コロナ禍による売上減少、原材料価格の高騰、親族企業との権利関係の問題、そして再建支援の頓挫です。
グループ4社の負債総額は約22億7000万円に上り、2026年10月13日には民事再生手続きの廃止が決定しました。
一方、千鳥饅頭総本舗や千鳥屋宗家は千鳥屋本家とは別会社であり、今回の経営破綻によって千鳥饅頭やチロリアンがすべてなくなるわけではありません。
千鳥屋本家の店舗については、今後閉店する可能性があるものの、2026年10月28日時点で具体的な閉店日程は明らかになっていません。
約400年の歴史を持つ千鳥屋本家の経営再建が実現しなかったことは残念ですが、千鳥饅頭の伝統が別会社でも受け継がれていることは救いですね。
今後の店舗営業や商品の販売状況については、各社の公式発表を確認してみてくださいね。


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